ペンをとれ。メモをしろ。そして人生を、世界を変えよう。
はじめに
「メモの魔力」(前田裕二・SHOWROOM社長)感想・レビュー
SHOWROOM社長、前田裕二さんの著書「メモの魔力」を読了しました。
メモの魔力 The Magic of Memo /幻冬舎/前田裕二
もう素晴らしかった!
久しぶりに心がガンガン揺さぶられる1冊に出会いました。
前田さんの著書は、前作「人生の勝算」も最高なんですが、個人的にはそれ以上に良かったです。
私自身、人よりだいぶノートを書くようになって1年9ヶ月。
私は人生の師と出会ってから、
前田さんの仰る「メモ」を私は「じぶんノート」と呼び、尋常ではない量のメモを取ってきました。
私はそれから勢いよく人生が好転し、数々の夢を叶えてきました。
この実感があるからこそ、頷くことが多すぎる内容でした。
メモが「人生のコンパス」を作る
本書の章立ては5つ。
- メモで日常をアイデアに変える
- メモで思考を深める
- メモで自分を知る
- メモで夢をかなえる
- メモは生き方である
第一章は、メモの具体的なとり方、
第二章は、本書での頻出ワードであるメモによる「抽象化」の方法、
第三章は、抽象化を活かした自己分析の方法、
第四章は、自己分析で見つけることができた「夢」をメモを通じて叶える方法、
第五章は、メモの本質はノウハウではなく「姿勢」であるというメッセージ
という構成になっています。
知的生産のための「メモ」の力
第一章と第二章は、
主にビジネスパーソンが、会議などの仕事の場面でどうメモを取り、それを発展させていくのか、活かしていくのか(本書の頻出ワード「転用」)という方法論がメインです。
メモは第二の脳のようなもの。
「メモは外付けハードディスク」という言葉がとても印象的でした。
第二の脳である外付けハードディスク(メモ)に記憶の部分を頼ることで、
空いた部分の自分の脳は、創造的なことにめいっぱい使う。
とはいっても
「記憶」のためではなく、あくまで「知的生産」という目的のためにメモを使う。
メモによって得られる5つのスキル
具体的に、メモによって生み出されるスキルは以下の5つです。
- アイディアを生み出せるようになる(知的生産性の向上)
- 情報を「素通り」しなくなる(情報獲得の伝導率向上)
- 相手のより深い話を聞き出せる(傾聴能力の向上)
- 話の骨組みがわかるようになる(構造化能力の向上)
- 曖昧な感覚や概念を言葉にできるようになる(言語化能力の向上)
個人的に、
私が普段人よりかなりメモ(ノート)を書いていて特に実感するのは、
2番目の情報獲得の伝導率向上と、4番目の構造化能力の向上です。
情報を素通りしなくなる、というのは
何も見聞きした情報に限りません。
私は特に「セルフトーク」と呼ばれる、自分自身の「心の声」を書き留めることを最重要視しています。
私たち人間は、1日に4〜6万回も自己対話をしています。
ほとんどの人間は、その事実に気付かず、まさに情報を「素通り」しているのです。
これを素通りせずに書き留めることが、本書でいう第三章以降の自己分析であり、夢を現実にすることに非常に役に立ちます。
また、構造化能力の向上は、
このようにブログを書く時はもちろん、
人前で講演をしたりするときには非常に役に立っていることを実感するスキルです。
とならないように、相手に大切なことを伝えるために、
そして相手の言わんとする事を的確に受け取るためにも大切です。
メモによる「抽象化」と「転用」
また、本書では
「ファクト」→「抽象化」→「転用」
というフレームワークが多用されます。
インプットした「ファクト」をもとに、
気付きを応用可能な粒度に「抽象化」し、
自らのアクションに「転用」する。
これにより、メモを「ただのメモ(記録)」で終わらせないで、人生に活用していくことが出来ます。
前田さんは「抽象化」は、人間に与えられた最強の武器だといいます。
確かに、事柄の粒度を揃え、レイヤーを揃えた会話が出来るととても話や文章がわかりやすくなります。
本書では抽象化をさらに3つの型にわけ
「What型」「How型」「Why型」
と分類していますが、前田さんもおっしゃる通り
この分類が大事とか、英単語のように暗記せよという話ではありません。
抽象化とは、本質を考えることです。
本質を見る抽象化思考が身についていれば、目指す目標を達成する能力が向上します。
レトリックにこだわり、独自の言葉を生み出す意義
メモにより「言語化能力」が向上することは間違いありません。
メモを取ること=言葉にすることだからです。
本書で紹介されている、
DeNA創業者の南場智子さんの「良質な非常識」という言葉、とてもグッと来ました。
またこちらも紹介されている、
秋元康さんの歌詞にハッとさせられたことも、以前からよくあります。
言語化が上手い人の特徴は大きく2つ。
- 抽象化能力が高い(一見無関係なものを結びつける「アナロジー力」が高い)
- 抽象概念に名前をつける能力が高い(標語・キーワードをつける力)
この辺は、私のようにブログやコピーライティング、講演などを生業としている人間には
ダイレクトに結果に関与する能力です。
私も「刺さる」言葉のストックをより意識していきたいと思いました。
メモで自分を知り、夢を叶える
第三章以降の後半は、メモによる自己分析と夢の叶え方についてです。
メモのノウハウなどを学んだところで
「結局、自分は何がやりたいのか」
ということが明確でなければ、充実した人生を歩むことはできません。
「自分とは、何か?」「結局、なにがやりたいのか」
全てのノウハウを超えて、最も知るべきことは、
自分を串刺しにする本質的な人生の軸
です。
いまこの瞬間
と問われて、すぐに答えられる人はおそらく多くありません。
もちろん、昔の私もそれが分からず迷子になっていました。
(そして「ライフデザイン講座」に出会い、今ではその講師になりました)
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「講師」になりました〜ライフデザイン講座と私の2年間〜キューイストプロジェクト卒業と一生忘れられない忘年パーティー
私たちの仕事は 「じぶんで自分の幸せを作り出せる女性を増やす」こと。 「ライフデザイン講座」認定講師になりました 2018年12月16日。 わたしは「ライフデザイン講座」の認定講師になりました。 ライ ...
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「自分とは、何か」
「自分が本当に望んでいるものは、何か」
「今、何がやりたいのか」
「これから、何をやっていくのか」
こういった問に明確に答えられる人間であるかどうかが、
情報過多でAI化が進むこれからの時代、とても、とても重要になります。
情報が溢れて、混沌としている時代に、迷っていない人は最強です。
自分をよく知って、何かに熱中している人が共感を集めます。
自分のことがわかっていると、
明確な価値観や死生観に沿って行動することができます。
やりたいことが明確な人が、幸せを掴む人です。
夢を叶える近道は、夢を言語化して伝えること
また、夢を紙に書くと現実になる、とよく言いますが、
その根拠についても第四章で触れられています。
私はまさに本書でもちらっと触れられた「RAS(網様体賦活系という脳のフィルター)」の力を根拠に、毎月、いやもっとこまめに夢の棚卸しをしているのですが、
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前田さんの仰る根拠2つ、
- 夢に対するマインドシェアが増える
- 言霊の力(言葉によって誰かの意識が変わり、それが自分にポジティブに跳ね返ってくる)
というのも、非常に強い実感があります。
夢を叶える近道は、夢を言語化して「自分」と「他者」に伝えることなのです。
自分を客観視することの重要性
なお「伝える」に関しては、
前半で出てきた、
能を大成させた世阿弥の言葉「我見と離見」が抽象化を加速させるという部分も関連しています。
私たちはニュートラルに行きていると
「我見」(がけん・自分自身が周りを見つめる目)しか持てません。
そこに自分を客観視する「離見」(りけん)を持ち、
「我見」と「離見」を一致させていくことが、自身の「伝える力」を伸ばしていくポイントです。
ライフチャートによる変曲点で幸せの源泉を見つける
また、第4章の最後で紹介されている「ライフチャート」。
これは人生を垂直的にではなく、
水平的に俯瞰して見るためのツールとして紹介されていますが、
実は、これに非常に近いことを
私が講師をつとめている「ライフデザイン講座」では教えていて、
人生単位といわず、生徒さんには毎日、あるグラフに記録をつけてもらっています。
もちろん、私自身も毎日欠かさずにつけています。
自己分析においては
- 垂直方向のエピソードや価値観の深掘り
- 水平方向の全体感把握
この両方が大切だと書かれていますが、
まさに「じぶんノート」は垂直方向の日々の感情の深掘りであり、自己対話
そして、ライフデザイン講座生に伝えている「○○○グラフ」は水平方向の全体感把握。
2つをセットで毎日つけてほしいと伝えているのですが、
これにより、縦と横で
立体的に自分を知ることが出来るようになります。
自分を知りつくす人間は、最強
これほどの熱量でメモ、ノートを書き続けることは、
やはり最初はちょっと大変です。
なかなか続きません・・・というお声を私も生徒さんからいただきます。
ですが、私自身も最初は難しかったです^^;
前田さんのおっしゃる通り「習慣」にしてしまえば、
「書いていないことが気持ち悪い、そわそわする」
という状況になるので、決して難しいことを書こうとせず、少しずつ始めてみて欲しいと思います。
自分を知り尽くす人間は、最強です。
自分軸がブレない人間は、最高に幸せです。
メモの魔力 The Magic of Memo /幻冬舎/前田裕二